2018年夏、シュタインズゲートに強く影響を受けダイバージェンスメーターを作る意気込みでニキシー管時計を作りました。いつかもう一つ作りたくなった時のための備忘録です。
回路概要
リトアニアのTubeHobbyさんのキット Nixie clock kit with IN-14 nixie tubes を参考に作りました。ダイバージェンスメーターを意識して、下記改良を加えています。
- IN-14(ニキシー管)を8本にする
- 配線地獄のはじまり
- ESP32-DevKitC(ESP32)で制御する
- Wi-FiやBluetoothといった無線接続を見据えて
昇圧回路
ニキシー管を光らせるために電源12Vから170-200Vを作ります。TL494を使った昇圧チョッパ回路です。
発振周波数は TL494のデータシート を見るとRt=5.6kΩ, Ct=0.01uFのとき25kHzほどなのでギリギリ可聴域外になりそうです。
ネットを調べるとニキシー管用の昇圧回路にNJM2360を使っているのもありましたが高電圧を扱ったことがなくて怖かったのでTubeHobbyさんのキットと同じにしました。TL494の方がton時間が2桁ほど早いのでインダクタンスLをより小さくできそうな気がします。
マイコン用に5Vも作っています。
昇圧回路の動作確認をしました。
問題なく使えそうです。
ニキシー管って綺麗ですね。線香花火に似た安心感があります。
駆動回路
今回使うニキシー管(IN-14)は陽極に170Vをかけ、陰極12本(0-9, ドット左, ドット右)のうちどこをグランドに落とすかで光る記号を切り替える仕組みです。
基板サイズと実装難易度を考え、下記構成にしました。
- 点灯方式をダイナミック方式にしてマイコンのピンを節約
- 数字(0-9)はBCD-to-decimal decoder(K155ID1)で制御
- 4本の信号線で10本の出力信号を制御できる
- 陽極の切り替えはフォトカプラ(TLP627)を使用
- 2つのドット用にフォトカプラ(TLP627)を追加
ダイナミック方式はニキシー管の数が増えるとチラツキが気になるようになります。8本分を想定して確認したところ、肉眼では気になりませんでした。動画やシャッタースピードを上げた写真ではキレイに写らないことがあります。
ダイナミック方式とスタティック方式のちがい
ダイナミック方式:必要な信号線(陽極8本 + 陰極12本)= 20本
- 光らせるニキシー管を選ぶ
- そのニキシー管の陰極のグランドに落とすピンを決める
- 1, 2をニキシー管の本数分高速で繰り返す
スタティック方式:必要な信号線(陽極8本 + (陰極12本 * 8))= 104本
- すべてのニキシー管の陽極に170Vかける
- それぞれのニキシー管の陰極のグランドに落とすピンを決める
組み立て
ダイナミック方式とはいえ、空中配線地獄に陥る予感がしたのでプリント基板で作成しました。
ユニバーサル基板とはまた違ったかっこよさがあります。
黒銀の組み合わせがなんとも渋いいです。
配線図はこんな感じです。
一応追加パーツが実装できるようにユニバーサル基板っぽい場所を作りましたがESP32のピンに空きがありません。。。
回路設計はEagle
発注先はSeeed studioのFusionPCBを使いました。
100mm * 100mm のサイズで10枚までならUSD$4.90なのでユニバーサル基板よりもコスパがいいかもしれません。
実際のはんだ付け作業はまる一日くらいかかりました。
以上でハードウェアができました。
ESP32がついているのでWifiにつなげたりして色々と遊べそうです。
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